ひな人形をお求めのお客さまへ
お子様のお誕生,おめでとうございます。また,この度はご来店いただき誠にありがとうございます。
お客さまの真心がやがて赤ちゃんに届くように,お客さまのひな人形選びの一助となりますように願って,このパンフレットを作成いたしました。
ぜひご一読下さい。
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旧暦三月は現在の四月中旬から五月上旬にあたります。
昔の人は心が不安定になることを邪気がついたと考えました。それでこの時季に紙や草で作った人形で体を撫でて邪気を祓い水に流しました。
また,平安時代の貴族の遊びとして「ひいな(小さくかわいい)」と呼ばれる人形を使ったままごと遊びがありました。
この二つの習慣が合わさったのが「ひな人形」の始まりです。
江戸時代には女の子の成長を願い「やがて幸せな結婚をして多くの人に囲まれて暮らせるように」と今のような十五人七段飾りの形式が出来ました。
最上段の内裏雛(殿,姫)は将来の結婚した姿を現しています。
通常,初節句に間に合うように母方の祖父母から赤ちゃんへ贈られます。
雛人形は本人自身のお守りであるため,嫁入道具として持っていかれても既に厄のついたものを赤ちゃんに譲るのはよくありません。
段飾りをいくつも飾る場所がない場合には内裏雛だけを飾る方が多いようです。
飾り始めるのは年明けならば何日でも,しまうのは三月三日以後の都合のよい晴れた日に。「三月三日に遅れると婚期が遅れる」とは旧暦でのことです。
なお,「おじいちゃん,おばあちゃんから赤ちゃんへの贈り物」という性格上,お返しはされないのが一般的です。お求めになる動機は宗教的な意味合いよりも贈られたお子さんが後になって「自分は大切にされてきた。」という意識が持てるように、友達と比べて寂しい思いをしないように、との願いの方が多いようです。
「おじいちゃん,おばあちゃんから赤ちゃんへの贈り物」という性格上,ご予算の範囲内で,お子さんが物心ついた後に自慢できるようなものを,おじいちゃん,おばあちゃん自身の眼で選んであげてください。
大多数の方が求められるのはは、藁または木の芯に衣装を着せた着込人形です。木目込人形は桐塑(桐の粉を固めたもの)または石膏に筋を彫り,布を貼りつけたものです。書き目(筆で書いた眼)が特徴で,落ちついた感じがしますが,お子さんにには着込人形の方が豪華に見えるようです。
ガラスケースの中に人形や道具が糊付けされています。飾付けは要りませんが,ガラスケースの原価が余分にかかるのと,ガラス越しに眺めるだけなので人形の造りは劣ります。収納スペースは飾ったときと同じです。
着込人形の通俗的な分け方です。決して産地を指すものではありません。
一般に旧来からの製造方法になるべく忠実に作られているのが京雛,分業で作られているのが東雛です。いずれも手工業による工芸品です。
七段飾りは人数が多いため,お子様に最も喜ばれる形式です。また贈られる先にお年寄りがいらっしゃる場合にはぜひおすすめします。
三段飾りは近年出てきた形式です。飾るための床面積は七段飾りと大差ありません。塗段の種類が豊富なのが特徴です。
平飾りは最も簡素な形式です。人数の少ない分高額な人形が選べます。
雛人形の大きさは「何番」と呼びます。番数の小さい方の人形が大きくなります。
しかし,京式と関東式の二つの表現方法があり,京七番と関東九番がほぼ同じ大きさであるように,一般にはかなり判りにくいものです。
最も判りやすいのは台や段の間口です。何寸を何号と表示されていて,40号ならば40寸,つまり120cmです。
弊社では,通常よりもひとサイズ大きい人形をセットしています。同じ大きさの段で人形の間隔を比べていただくとよくわかります。
雛人形は人形,台,屏風,道具,花,雪洞などいくつもの部品がセットとなっており,それぞれ専門の工房で制作しています。例えば,人形でも頭と胴では職種が違います。作者を表わす作札はセットを組んだ会社や店のものが一般的です。弊社では主に胴の作者の作札をつけています。